シェアーワークな着物~反物からお仕立てまで
一反の反物が染め上がり、12m(お一人の成人着物は12m~13m必要です)
の素材になり生地が仕上がります。
お仕立て屋さんは直線縫いが得意!
反物はお仕立て屋さんによって浴衣や着物に仕上がっていきます。着物の仕立ては非常にシンプル・それでいて複雑という奇怪な構造です。もらい物のの着物や浴衣は一度解いてみるととても勉強になります。まず、直線でしか裁断されてません。それには理由があります。何度も解いて洗い、縫い、解いて洗い、縫いちしやすいためです。直線と縫うのと曲線を縫うのとどちらが難易度が高いか、手でちくちくした経験がある人はすぐわかるでしょう。
手縫いは解くのも簡単!生地の寿命尽きるまで使い切り!
12mをどのように裁断するかご存じですか?下記の図をご覧ください裁断した後も解きは縫いをすれば、また一反の状態に戻る事が可能です。
トキは縫いをされた反物は染め替えも可能です。なんとサステナブルなんでしょう。世界を見回せば、体に丸みに合わせて衣装を裁断するか、布を体に巻き付けて丸い体に着つけるか、どちらかに分類されるようですが、日本人は体に巻き付けて体系に布を着つける方法です。ですから着物を「着付ける」技術が必要になります。その代わり、素材は体系に関係なく長く使えるのですね。多少太っても痩せても同じ生地で着れる着物は素材を大切思う心と工夫が一杯です。お仕立ての時、手縫いにするか、ミシンにするか、とお客様に選択して頂きます。ミシンの方が強度は強いかも、、でも、、、、、手縫いの良さは解く時に本当に一本の糸を切ればするすると解けます。また、古くなっても、生地が破けるのではなく縫製した糸が切れるようになっているので、生地は傷みません。このように資源の少ない日本ならでは、生地の寿命が尽きるまで使い切る工夫のひとつが手縫いなんです。
私の母は着物のお仕立て屋でした。「細かく強く縫う癖のあるお仕立て屋さんは丈夫かもしれないけど、解くの大変なうえ、結構な頻度で攣れるので、ざくざく縫うお仕立ての方が腕は上よ」と話してました。ざくざく縫うのにまっすぐ縫うのは技術がいるかもしれません。裁断の図面を見ておや?と思う事はありませんはか。それは前身ごろと後ろ身ごろが一枚になっている?という事は型の部分、袖であれば腕の部分で生地が逆さまになるのです。着物テキスタイルを学んでない方がデザインするとこの点を見逃しがちです。そう、上を向いた花柄のデザインは肩山でひっくりかえるので、下向きになってしまいます。ですから、小紋のような総柄では上を向いたり下を向いたりする柄の入交がないと成立しない裁断方法です。これから春から夏に向けて浴衣を着る頻度も、観る頻度も高くなのりますよね。その時是非柄をじっくり見てみて下さい。このような感性で柄を見てみるのも面白いです。
採寸は重要!
話をお仕立てに戻します。よく呉服屋さんでお仕立てを自分スタイルで!と採寸された事ありませんか。ところが、細かく採寸されても、お仕立てに生かされてない事があるのです。採寸を出来ない接客の人員に持たされている「採寸換算表」です。これは身長と体重や胸囲など主たる要素を入れると自動的にすべての体験を数値化する仕組みです。一般的な体験を統計的に換算して落とし込むので、あくまでも一般的な体系に換算されてお仕立てが仕上がってきてしまいます。
ここに落とし穴があります。日本人の体形に多いのですが、胸囲はそれほどでもないのですが、ウエストがしっかりとした体形。逆に胸は大きいのに、腰回りが痩せている人、ヒップが細い人など上半身と下半身が必ずしもバランスよく太ってる、痩せている人が少ないのです。当たり前ですが、体系は千差万別。ですから、しっかり測定してもらってそれに沿ったお仕立てをする、出来るところをご選択する方が着つけも楽です。でもその分お仕立て技術は高いので、お仕立て代金も高くなりがちです。着物や浴衣はとかく、小物や購入品が多くてお金がかかりがち。浴衣などはあんまりこだわらず、格の高い着物はお仕立てもこだわって!など、強弱をつけて自分独自スタイルの着物術を身に着けられると良いかと思います。
こうして、反物は着物になってお手元に届くのです。
着つけは厳格でなくても良い!それなりに場をわきませて
体に合わせて着物を着つける、着物を着るうえで大きな難題がこの着付けです。多くの日本人が「着付け」が「苦手」だと思い込んでしまってます。着物警察などと言われる「きれいに着てないと叱られる」思いをした人も多いでしょう。でもよくよく考えてみて下さい。着物が日常着だった時代にそんなにきれいに着つけていたでしょうかさらに、パリっとした着物ばかり着ていたでしょうか。NOです。もちろん、上司に合う時、結婚式に出席するとき、などは着崩してはいけないでしょう。それは現代の洋服でも同じで、式典と思われる場にジーンズで行くのは多少のレアケースを除いて非常識です。それと同じこと、掃除や洗濯、仕事をするときにはそれなりに、花見のお出かけの時にはそれなりに、デートの時はそれなりに、飲み会はそれなりに、つまり場をわきまえていれば、その場のそれなりにで着物も気つければよいのです。
着物が非日常になってしまった現代。着物=晴れの舞台=ちゃんと気つけないといけない。となったのはほんの最近です。東京オリンピック以降だと言われてます。テレビの普及で、画面に映し出される女性の着物の襟もとの乱れを専門家が「だらしない」と言った事から着付け道がより厳格で厳しくなったとか。つい最近なんです。ですから、私は花火大会に浴衣を着崩したっていいじゃないかと思うんです。肌を露出した振袖の着付けをとやかく言うのは「成人式」という式典への出席が前提ですから、それならば合点がいきます。着物を厳格なもの=伝統は窮屈なルールと思われるは心外でもあります。原点に戻って、布を体に巻き付けるだけ!紐で縛って、帯で飾って胴回りを〆るだけ!と気軽に考えれば、浴衣ぐらいを着るのは本当にたいした事ありません。是非是非!レッツトライ!です。